奈良国立博物館で開催中の第71回正倉院展と隣の仏像館を見学したあと春日大社まで足をのばしてみました。
西回廊から着到殿
方面
桂昌殿と手水
遣唐留学生に選ばれた阿倍仲麻呂公(17歳)と吉備真備公(20歳晩年右大臣)たちは、ここ春日神地で壮行神事を受けて出発、課程履終後は仲麻呂公のみ乞われて唐朝廷に入り、要職を歴任したのでした。33歳の時帰国願いは玄宗皇帝に許されず、53歳の時ようやく一時帰国を認められ、蘇州出航前夜停泊中の船内で詠んだのがこの歌です。喜びに満ちあれております。 ところが乗船は灘波して安南(ベトナム)に漂着、辛うじて唐首都長安(西安市)に戻ったものの、逆に帰国の夢むなしく70歳で亡くなりました。この歌は、故国日本をしのび続けた悲しみの歌になってしまいました。後に仲麻呂公には祖国貢献の公労に報い、右大臣相応の正二位が追贈されております。
天の原 ふりさけ見れば 春日なる 御笠の山に いでし月かも
国宝殿は以前のところから少し離れたところに新築されていました